お知らせ

── ムロオカ定食は、

僕の“人生のやり直し定食”です ──

 

最終話|これからの話

 

── 僕の飲食人生は、まだ途中です。

 

海老フライともつ煮があって、「室岡定食」が生まれた。

ようやく“ムロオカ”という店のかたちが見えてきました。

 

でも、ここがゴールじゃありません。

 

神奈川での過酷な修行時代が“第1の修行”だったとすれば、

今のムロオカは、僕にとって“第2の修行”です。

 

ムロオカは、大人気の飲食店ではありません。

週末なのに、お客様が少ない日だって正直あります。

 

でも、それでいいんです。

伸びそうになる鼻を、いい具合にへし折ってくれる。

とてもありがたい薬だと思っています。

 

「潰れるかもしれない」

そんな恐怖がよぎる日もあります。

 

暇だと不安がじわじわと広がり、

忙しければ、体が悲鳴をあげるほど働く。

 

令和の時代に“働きすぎ”は敬遠されるかもしれません。

でも、暇で不安な日もあれば、忙しく日付は変わりやがて空が明るくなるくらい限界まで働く日もある。

その両方を抱えてこそ、

個人経営の定食屋の親父のリアル。

——結局、これが僕の生き方です。

 

不安こそが、飽きずに商えて、現状を見つめ直す起爆材になる。

何がいけないかとにかく考える。

ムロオカのおかげで、僕は今も

料理を見直し、商売と向き合い直し、自分の弱さとも戦っています。

 

ここは本当に難しい場所です。

 

この第2の修行は、きっと僕をまた一歩、レベルアップさせてくれる。

そう信じています。

 

なぜなら、この先にどうしても叶えたい夢があるからです。

 

——それは、地元・富岡市でムロオカのような定食屋を開くこと。

 

勢いのあった社長時代なら、すぐに出店できたかもしれません。

資金も、タイミングもありました。

 

でも今はムロオカで苦労を積んでから挑みたい。

そのほうが、きっと意味がある気がするんです。

 

飲食人生のすべてをぶつけて、

最後に一軒の、大切な店を、自分の手でつくる。

 

その夢のために

今日もムロオカで楽しく修行をしています。

 

 

全11話、最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

このストーリーは、キッチンムロオカが、僕にとって6店舗目にして最も苦戦したお店だったからこそ——

そこに宿る“特別な想い”を込めて書かせていただきました。

 

開業からわずか4か月目で迎えた崖っぷち。

あのとき正直、今こうして続けられているとは思っていませんでした。

 

気づけば、24歳で独立してから飲食一筋で17年。

40歳を過ぎた今、こうして続けてこられたのは、支えてくださった皆様のおかげです。

 

その感謝と、これからも続けていく覚悟を込めて——

 

そして、自分に甘えず背中を押すためにも、恥ずかしい部分も含めてすべてさらけ出しました。

 

キッチンムロオカは今年9月で4周年を迎えます。

とはいえ、まだ“たったの4年”。

5年目、6年目——あるいはいつか場所が変わることがあっても、

「また来るよ」のひと言をいただけるよう、これからも仕込みに向き合っていきます。

 

これからも変わらず、

**“ちゃんとうまい”**を、一皿ずつ、一盆ずつ、丁寧に。

 

今後とも、キッチンムロオカをどうぞよろしくお願いいたします。

 

追伸:

突然こんな投稿を始めたので、「マスター病んでるの?」というお声も多数いただきましたが……ご安心ください、僕は超元気です!

毎日楽しく仕込みしてます!

ご心配、気にかけてくださってありがとうございます。