お知らせ
2025.07.03 (Thu) 22:57
── ムロオカ定食は、 僕の“人生のやり直し定食”です ── 第4話|僕の原点の話
第4話|僕の原点の話
── 台所に立つのが、ただ嬉しかった。
幼い頃、家の台所で袋麺を作るのが好きでした。
お湯を沸かして、もやしや卵を入れるだけ。
それだけで、なんだか胸が高鳴った。
一生懸命に作ったインスタントラーメンは、自分史上最高にうまかった。
高校を中退して、最初に入ったのは近所のホテルの厨房。
皿洗いに皮むき、盛りつけ……
地味な作業ばかりだったけれど、不思議と物凄く楽しかった。
「この世界が僕の居場所だ」と、自然に思えた。
そこから、神奈川で本格的な板前修行へ。
今の時代あり得ませんが、
エアコンも風呂もない寮に住み、手取りは月8万円。
朝6時半から夜9時過ぎまで働き、休みは週に1回だけ。
まさに“地獄”みたいな毎日でしたが、不思議と料理を嫌いになったことは一度もありませんでした。
群馬に戻ってからは居酒屋に入り、やがて店長に。
この頃から、料理だけじゃなく“商売の面白さ”にも惹かれていきました。
人が集まり、笑い、酔い、帰っていく。
その流れをつくるのが、たまらなく面白かった。
そして24歳で独立。
最初の店「居酒屋 平八」は、ありがたいことに繁盛させていただき、翌年に2号店、その次に3号店…
30歳の頃には、5店舗を構え、社員・パート・アルバイトを合わせて70人を超え、売上もケタ違いに伸び続け、街を歩くだけで風を切り、自分が何者かになれたそんな気がしていました。
思えば、人生のピークをあの頃に迎えていたのかもしれません。
安心してください。
このあと、ちゃんと転落します。